第4話「要」
(この章のみ要サイド)
俺は神楽のことが気になっていた。
最近の神楽の様子がおかしい。
別に思い違いならばそれはそれでかまわない。
ただ、嫌な予感がした。
とても嫌な予感が。
といっても俺の予感はぶっちゃけた話当たったことはないけれど。
俺はとにかく気を紛らわそうとある漫画を探していた。
それは“○国少年パプ○くん”という有名な漫画だ。
今の子どもたちにはあまり見たことがないかもしれないが、アレはとても面白い漫画なのではないかと思っている。
すぐにでも読みたかったのだが、かさばるからと押入れのなかに入れてしまったのだ。
押入れに入れたはいいのだが、押入れのどこに入れたのかまでは覚えていなかったのでダンボールをひっくり返して探すしか方法はなかった。
そのとき、ドアのほうからノックの音がした。
「……要?」
いつもはこんな押入れの奥底まで探すほど必死になることなんてなかったので、きっとこの光景は珍しかったのだろう。
入ってきて俺の名をいうまでにこんなに間が空いていたのは初めてだった。
「神楽。帰ってたんだ?」
神楽が何も話を切り出しそうになかったので俺から話しかけることにした。
きっと何かあるのだろう、俺は頭だけ話を聞く体制に持ち込み、体は漫画を探すために必死になっていた。
なので話を聞いていないところもしばしばあったかもしれない。
「あっ……うん…。」
それからまた必死に探そうと体制を元に戻そうとしたのだが、神楽の視線が部屋のあちこちに向かっていることに気づいた。
その視線が“何やってるの?”いうような目でこちら側を見ている。
「ちょっとさ、漫画探してるんだよね。」
「漫画?」
「○国少年パプ○くん」
この言葉を口にした瞬間、神楽は意味のわからないようなあきれた顔を一瞬していた。
神楽にはついていけなかったらしい。
俺の周りでも嵌らせることができたのはほんの数人だった。
すげぇ面白いと思うんだけどなと思いつつ、探す体制に入る。
「何でいきなり?」
「なんでって……」
漫画を探す理由なんてひとつしかないだろうと思いながら答える。
「読みたくなったから。」
この答えに神楽はなにも返すことはなかった。
別にそこから会話を続けようとは思っていなかったため、探すことに夢中になっていた。
あれから1〜2時間は経っただろうか。
やっと見つけたときには空は少しオレンジかかっていた。
神楽の姿もまったくなく、きっと自分の部屋の中にいるのだろう。
確かにあれからずっと探すのに夢中だったからなと心の中で解釈をした。
「ふぅ……これでやっと読める。」
部屋の散らかり状態を気にせずに本すべてをベッドの上へ持ち込み、1巻目を開こうとしたそのとき、ふと何かが違うことに気がついた。
一見何も変わっていないように見えたこの風景。
でも少しだけ違和感があった。
その違和感は懐かしいものがまったくないような、何か物足りない。
とりあえず漫画をパタンと閉じ、ベッドから立ち上がった。
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- 2006/01/11(水) 10:08:03|
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