春夏秋冬〜季節を感じとけ〜
ファンタジーを少々。

第3話‐7


 ガチャッ

鍵をガチャッとする音が聞こえ、その方向に体ごと視線を向けた。
ここの鍵を持っている人物は自分と要のみである。
他に鍵を持っているはずがない。
だけど、そこにいたのは要じゃなかった。


「こんにちわ。」


「………」


見つめることしか出来なかった。
目の前にいたのは要じゃない。
確かにそういう理由もある。
しかし、それだけじゃなかった。
これはなんと表現をしたらいいのだろう。
人。人だといわれたら確かに人だ。
言葉も通じるみたいだし、形も人に一番近いだろう。
ただ、人にはありえないものがその人にはあった。
背中に“羽”が生えていたのである。
その羽はこの狭い家にはもったいないくらいに綺麗な羽だった。


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  1. 2005/08/25(木) 17:03:50|
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第3話‐6

あれから数時間がたち、夜になるが要はまったく戻ってくる様子がなかった。
最近現実味がない出来事ばかりが襲ってきていたので、今回も何かあるかが分からない。
別に普通だったら大学生が一人でふらふら出歩いているなんてことに対して心配もなにもないだろう。
しかし、状況が状況なのである。
ここで心配しないで何が家族だと思うだろう。
「……遅い……」
いつもなら今日の夕飯当番は要なので要が料理を作っている横で口を出しつつ適当に手伝っている予定だった。
それなのに今、目の前には既に出来た夕飯があり、その前に俺が一人座っている。
テーブルの上においてあるのは二人前の食事。
椅子に座っているのは一人。
なんとも寂しい食卓である。
「はぁ……」
最初はいきなり窓から出歩いて何やってるんだとどういう風に怒ろうかいろいろ考えていたが、ここまでくるともう怒る気にもならない。
帰ってきたらまずは“おかえり”という。
それは俺にしか出来ないことだから。
心残りはたくさんあるけれどもそうすることにした。
「……(それにしたって遅すぎだろ)……」
椅子に座り、目の前の食事を凝視しながら対応策を色々考え出していた。
勿論警察に通報するとか、友人と一緒に探しにいくという策も頭の中で出ていた。
しかし、最終的には“待つ”ということに落ち着いてしまっている。
そこから動き出すことができないのである。




  1. 2005/08/25(木) 17:00:40|
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第3話‐5

そして又暇になったのである。
「………」
とりあえず部屋の中にあった本で読んでいないものがあったため、読もうとするが中々集中ができない。
数ページ読んだだけでベッドのしたに放り投げてしまった。
だからといってそれを取りに行こうとは思わなかった。
部屋の中にいても疲れがとれるわけでもない。
冷たい風にあたりに行こうと外へ出かけることにした。
簡単な身支度だけして廊下へでた。
一応要にも出かけることを伝えなければならないので要の部屋にもよった。
「要」
ドアをガチャっとあける。
すると要の姿がなかった。
一瞬だけトイレにでも行ったのかと思っていたが、そうではないということにすぐ気がついてしまった自分がいた。
それは、窓が開いていたから。
すぐに直感した。
何かがあったのと。
そしてこの光景はどこかで見たことがあった。
普段と変わらないのに、何故か窓が開いている。
それは一度だけしかなかったが、鮮明に覚えていたことだった。
そう、あの少女の存在。
これからどうしたらいいのかが分からずにただ、立ち尽くすしかなかった。




  1. 2005/08/25(木) 16:58:50|
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第3話‐3

「まもなく、萩窪(はぎくぼ)、萩窪でございます。」
丁度話の区切りがついたところに学校の最寄り駅である萩窪駅についた。
俺と要は皆が降りる波に流されるように一緒に降りて行った。
そこからは色々な列が出来ていて、またついていく形になる。
定期で改札をでて、(要は切符)そこから10分くらいかけて学校へ行く形になる。
電車内ではまだ少し気持ち悪そうだったが、外に出ると顔色はだんだんと良くなっていった。
「じゃあこれから授業行くけど大丈夫か?」
「心配しすぎ。平気だって。」
じゃ、と俺のほうが少し早めに声を出して軽く右手を上げた。
違う方向へ行こうと体を向けようとしたときに要のほうも「気をつけるんだぞ」と言って別方向へ向かう。
俺一人になり、講義の部屋へつくと光がいた。
「おう。もう平気なのか?」
光が珍しく心配そうな顔をしてみてきた。
「あぁ。心配かけたみたいで悪かったな。」
だからといってそれを笑うこともなく、微笑で返す。
いつもならばこの時間は講義をとる人間であふれているはずなのだが、今日だけはなぜか少なかった。
それについては光も不明だったらしい。
だからといってそこまで気にすることでもなかったので、ほっておくことにした。
「そういえば前に『血の雨』についてのニュースやってただろ?」
このニュースはとてつもなく気になっていたニュースだった。
本当に血の成分だったのかを世界中で調べたりしているみたいだったが、それについてはまだ未定らしい。
ネット等のうわさでは“死者が大量にでる神からの予言”とも噂されていた。
「あぁ……それがどうした?」
「あれさ、地球上には存在しない成分だったらしいぜ。」
普通に血のような赤い雨が降ること自体わけが分からないって言うのに今度は地球には存在しない成分と来た。
色々自分の身の回りに起きていることを考えると段々現実味さえなくなってきていた。
「へぇ……」
「あれ?もっと驚くかと思ったのに。」
「十分驚いてるよ…」
疲れすぎたのだろう。俺の中でもうどうでも良くなっていった。




  1. 2005/08/25(木) 16:55:02|
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第3話-2

俺と要は電車で行くために早く家を出ていた。
要の場合はバイクがあるために電車で行かなくても良いのだが、なんとなく俺のことが心配だったのか一緒についてきたのだ。
「別にバイクで行けば良かったのに。」
「あれから調子悪そうだったから。」
そういうところはやはり双子で一緒に生活しているだけあって、相手の体調は一発で見抜いてしまうのだ。
俺はそういう要のいいところを見抜いていた。
「なぁ……ひとつ変なこと聞いて良いか?」
「?いいけど?」
神楽がうつむいて真剣な顔して聞くのをみて、ここで笑ったりしてはいけないと感じて普通に返事を返した。
「…イエス、ノウって……分かるか?」
「“はい”か“いいえ”の差だろ?俺だって中学レベルのやつは分かるぜ?」
流石にイエスとノウを人の名前だという風には分けなかったようだ。
夢に出てきたからと言って要が関係したりというのはないとは思っていたが、あまりにも似すぎていたのがいけなかった。
そもそも夢というのは頭の中での想像から出来るもの。
それが現実の世界に関係しているとは誰も思わないだろう。
しかし、やはり神楽にはこれが夢だけで終えられるものだとは思えなかった。
「そうだよな……サンキュ。」
「?何かあったのか?」
「いや、何もない。」
俺の様子のおかしさに流石の要も心配そうにしていたが、これは説明しても信じてはくれない問題なので言わないでいた。
要のほうもよほどのことがあったのだろうとは思っているが、あまり深入りはせずにいた。


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  1. 2005/08/16(火) 19:22:54|
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第3話‐1

第3話「謎」

ここ数日いろいろなことが自分の周りで起こりすぎている。
どうしてこんなことになっているのか神楽にはさっぱり分からなかっていなかった。
それでも要たちはいつもと変わらない生活を送っている。
当たり前のことだったが、そのことについて悩まなくて良いのが神楽にはうらやましくてたまらない。
昨日は早退をしていたが、授業をなるべく休むわけにはいかない。
折角遺産で払ってもらっているのだからその分勉強せねばと両親がなくなったときに決めていたからだ。
「今日は……っと、珍しいこともあるんだな。」
リビングへ行くと、朝ご飯と昼飯用の弁当がそろっていた。
洗い物もしてある。
あまりにもきちんとしすぎて気持ち悪くなるほどだ。
「明日は嵐かな。」
それよりも凄い気象情報がおきていたことには触れずにぼそっといった。
「珍しいってひどくないっ!?」
「珍しいには変わりねぇだろ。」
「まぁそうなんだけどさ。俺すげぇ頑張ったんだぜ!」
ちらっと要に目線を合わせてみると「褒めて褒めて!」というかのような笑顔を見せる。
本当は4割ぐらい褒めて6割ぐらい説教をしてやろうかと思っていたが、この笑顔を直でみるとそうもいえなくなってしまう。
俺、やっぱり要に甘いのか?
「あぁ……偉い偉い。じゃあこれからはドンドン一人で出来るよな?」
「………たぶん。」
多分ということは出来ないというのと同意語であることを俺は十分分かっている。
それでもここまで一人でやり遂げたのだから立派に成長した証を暖かく見守ってやろうと思っていた。




  1. 2005/04/08(金) 20:46:57|
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