春夏秋冬〜季節を感じとけ〜
ファンタジーを少々。

第1話-7

「神楽……」
「何?」
俺と神楽は同じ味のチューハイを飲んでいた。
リビングで向かい合わせになっている。
家についたあと、冷蔵庫の中に入っていたチューハイが丁度2本余っていたのを思い出し、要がリビングに持ってきたのだ。
久しぶりに一緒に酒を飲もうということになり、今に至っているのである。
「俺、そばにいるからな。」
「はい?」
いきなり何を言い出すのかと思えば…と神楽はふっと軽く笑った。
それと同時に要ってチューハイで酔う奴だったか?と頭の中で考えたりもした。
「何があってもそばにいる。今決めた。」
「今かよ。」
軽い溜息をつきつつも俺の表情は柔らかかった。
双子には親とのつながりとも兄弟とのつながりよりも恋人同士や友達同士とのつながりよりも違うつながりがあるらしい。
要ともそんなつながりがあるのかな、なんて思った。
「うん、今。」
「ふっ……まぁいいけどさ。アリガト。」
酒を飲んだときのノリで言った言葉かもしれないけれど。
それでもこんなに嬉しいものなのかな…。
と、神楽はなぜか心底の安堵を抱いていた。


2人の中にある絆。
ずっと崩れないことを願いたい。

第1話「絆」 end




とうとう現実逃避をしてしまいました。
何はともあれ一応一話はこれで終わりです。
不定期ではありますが、見捨てずに見てってやってください。



  1. 2005/01/30(日) 17:56:38|
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第1話-6

「あ〜……よく寝た。」
要は伸びをしながらあくびをしていた。
それを横目で見ながらも神楽の目は読みかけていた本の文を追っていた。
「よく寝たってねぇ……図書館は寝るところじゃないぞ。」
「わーってるって。本を読んだりするところだろ?」
「まぁ分かってるなら良いけど。」
区切りのいいところで本にしおりを挟み、読みきっていた本は本棚の返却口に入れる。
要は本を借りる手続きなどを終えるまで席で待っていた。
とっくに準備を終えていた要の様子も気にしないで帰る準備を着々と進める。
荷物をまとめ終わりそうなところにやっと要も動き始めた。
「んじゃあ行くか。」
この一言で同時に出口の方向まで歩き出す。
図書館のドアを開くまで両者とも口を開くことはなかった。
「そういえばさ、お前最近コソコソ何やってるんだ?」
歩いている途中で神楽はふと思い出した。
最近の要は家から出ている確率のほうが多い。
別に最近の男子があまり外に出ないというのもおかしなことだが、前はもっと家にいた率が高かった。
「ん〜。ナイショ。」
「しばくぞ。」
「冗談だよ。全く最近言葉きついよ。」
誰のせいだと思ってるんだ。と神楽の心の中では最後の言葉に対しての文句がいっぱい叫ばれていた。
神楽の様子を尻目に要はにんまりと笑顔を浮かべる。
「まぁ、そのうち教えるよ。」
案外近いかもね。と神楽に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で言う。
何のことだか分からない神楽はまた悩みの種が増えそうになっていた。
そしてそのあとに、のんびりいつものように歩いていると後ろから何かを感じ、神楽はバッと振り向く。
しかし、振り向いては見たものの何もない。
「……気のせいか。」
「神楽?」
「なんでもない。行こう。」
誰かがいたような気がしたんだけど…と心の中でつぶやいた。
別にばれても支障がないことなのだが、なぜか要には知られてはいけない気がした。
やはりあんなメールを送られてしまったからだろうか。
なんだかもやもやとこれからのことにやな予感がしていた。




あと1回でやっと1話が終了します。
てか更新しなさすぎましたね…スミマセン。
長くなるとは思いますが、お付き合いいただければ幸いです。



  1. 2005/01/15(土) 00:11:40|
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第1話−5

授業が終わり、俺はいつもどおり図書館にいた。
要はまだ授業が残っているために神楽のみが図書館にいた。
正直言って凄く良い感じだ。
『うん、やっぱしいい。』
図書館で借りていた本を返した後、又いつものように本が山積みで机の上にあった。
今神楽の隣には要ではなく、光がいる。
いつもは図書館前で別れるのだが、授業で言われていた宿題をするために一緒にいるのだ。
光は常識人なので一緒にいても問題はない。
「あっ…そういえばさぁ」
「ん?」
「ニュースで天気異常があったらしいって知ってる?」
昨日の夜、南のオーストラリアの上空で異常が発見された。
別に台風とか竜巻とかそういうのではない。
だからといってオゾン層関連のものでもない。
信じられない話ではあるのだが、『血の雨』が降ったという話なのだ。
今のところ死傷者は出ていない。
でも気になるニュースだった。
「あぁ、なんか気味悪いよな。」
「でも成分も何もかも血の成分だったらしいぜ。」
「マジで!?血の成分が上から降ってくるわけねーだろ。」
もしかしたら思ったよりも似ているかもしれないけれど、神楽は雨の成分についても血の成分についても詳しく知っているわけではない。
もちろん天気のことも。
だけど、上空から血が落ちてくるなんていう話は聞いたことがない。
「……まさかな。」
「え?」
いや、なんでもない。と光には軽く言うが、実はかなり気になっていた。
今回と前回のメール、天気の異常。
全てはもしかして必然的なことなのではないかと。
ばかげた話ではあるのだが、そんな可能性もあるんじゃないかなんて思っていた。
「そういえば資料は見つかりそうか?」
「あぁ……なんとか。これだけあれば大丈夫だろ。」
あとはネットでコピーしてなんとかするさ。と軽い口調で言う。
ネットコピーとは大学生や、高校生がよくレポートを提出する上でよくやる行為だ。
確かに楽ではあるのだが、皆同じ行為をするために違法行為をしたというのがバレバレなのだ。
「……ばれて点数落とすなよ。」
「大丈夫だよ。複数のところからやるから。」
光はそういう違法行為を採点する先生の気持ちを良く分かっている。
皆が見なさそうなサイトを見つけたり、今言ったみたいに複数のところから良いところのみをコピーしたり。
そのおかげで先生からの評判は上々なのだ。
「ははっお前なら心配いらなそうだな。」
じゃあ俺そろそろ帰るわ、と光は手で合図をして鞄を持って出口に向かって歩いていった。
俺も釣られて手を振って手に持っていた本を読みきり、また山積みにしてあった本を読みきろうと手を伸ばす。
しばらくしているとその本に熱中していたのか横にはすでに要の姿があった。
大体熱中していても声がすれば集中はそこで途絶えてしまうので今回は声をかけなかったのだろう。
おとなしく隣で寝ていた。
「……要?」
呼んでみても反応がない。
また呼ぼうかと手を伸ばしたが、まだ読みたい本もあったし要も爆睡しているようだ。
そっとしといてやろうと思い、隣で又読み始めた。




核心にはまだまだ触れません。
この小説の目標は”急がない”です。



  1. 2005/01/04(火) 19:45:56|
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第1話‐4

「ふぅ……やっとついたぁ…」
神楽とは要とは受講する教科が違うために途中で別々に分かれていった。
これから神楽が受けるのは『生命の科学』。
この先生は結構遅刻すると五月蝿い人なので遅刻ギリギリと言うのは正直辛い。
「おっ又遅刻ギリギリか。よく間に合うな。」
「おうよ〜。もうヘトヘト。」
たどり着いた後、疲れきって机の上に伏せてしまった。
「神楽も大変だよな。」
俺の数少ない友達の一人、西紀 光(にしき あきら)だ。
入学式のときとかは要がいてくれたからいいものの、クラスが違うために俺は一人になってしまっていた。
そのときに話しかけてくれたのが光だった。
「まぁ……しょうがないさ。あんな性格だしな。俺も実際家事をするのは嫌いじゃないし。」
「お前が女だったら嫁にしたいNo.1だな。」
「お世辞でも嬉しいよ。」
ハハッと作り笑いをしては見たが、嬉しくないといっているのがバレバレだった。
そこでガチャっとドアが開く音がした。
「それじゃあ出席をとるぞ〜。」
そこから出席番号順に名前を読み上げていく。
普段の授業では出席カードを配って提出すれば出席として扱われるのだが、「壱枚足りません」と言ってしまえば不正がばれてしまうということで古来の出席方式にしたのだ。
だからこの授業では欠席はおろか遅刻もできない。
「よし。全員そろったな。えっと、前回くばったこのプリントの続きから―――――――――」
授業を適当に流し聞きをしていたときに机の下においていた携帯のバイブがなった。
こっそり開けてみるとまた意味不明なメールだった。

天界と地界を結ぶ者
我はそなたを求むる
目覚めよ
Zeroを目覚めさせ
さもなくば天界、地界共に滅びよう


1度のみならまだしも昨日に続けてのメールだ。
流石にアドレスを変えたくなってしまう。
別に変な迷惑メールぐらい消せばいいじゃないかと思うが、何故か消せなかった。
消そうと思えば消せるものなのだが、何故か消すことが出来なかったのだ。
これをただの過去にしてしまってはいけない気がした。
『なんなんだ?迷惑メールじゃないみたいだし……俺に何かを求めてるとか?』
どうしたらいいかが分からないためにこっちから動くことも出来ない。
だからほっておくしかないのだ。
「何かあったのか?」
俺の異変に気づいて小声で聞いてきた。
相当顔に出ていたらしい。
「いや?何にもないよ。」
「ならいいけど……なんかよくわかんねぇけどなんかあったら言えよ?」
「おうよ。」
余談なことを色々やっているうちに授業はいつのまにか終わっていた。
ついでにいらない宿題まで出たらしい。
好きな科目だから良いけれども、余計なことをしやがってと思う気持ちには変わりなかった。
「あの人レポート好きだよなぁ。」
「確かに。前期だけで4回目だもんな。出しすぎだよ。」
他愛のない話をしていると要がこっちの授業が終わったらしいことを認識して教室へ入ってきた。
「か〜ぐらっ!」
「要」
「お前ら……(汗)」
相変わらず危ないくらい中がいいんだなと2人の間から心持5mぐらい離れたところで光は思っていた。
要は真っ直ぐに1時間半の時間が長かったよ!というかのように俺のところに向かって抱きついてくる。
それを正直うざがっていた。
「何も言うな……(涙)」
この行為になれつつある神楽は涙を流したくて仕方がなかった。
光はただこの行為を傍観するだけだった。



『生命の科学』は学校に実際にあった授業名です。



  1. 2004/12/29(水) 22:41:26|
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第1話‐3

次の朝、神楽は昨日要に約束してしまったものを朝から作っていた。
そう、弁当の中に好きなものを入れてやるという約束。
要が入れると必ず喜ぶのはタコウィンナー。
普段はタコの形にきるのが面倒であまりやらないのだが、今回は特別にやってやることにしたのだ。
「なんていうか……俺すっかり主夫になっちゃったよなぁ……。」
はぁ…と溜息をつく。
神楽にとっての家族理想はもし結婚していたとしても相手に愛妻弁当やおいしい料理は作っていてほしいのだ。
洗い物とかの他のものは全て分担して。
家計とかは相手にやってもらって。
そのはずだったのに今では要のお守りとかしている。
悲しい運命(さだめ)だ。
「おっはよ〜。タコウィンナー入れてくれた?」

コイツ……なんか甘えるのが当たり前になってないか?

神楽はちょっとムカつきながらも着々と弁当の中身が出来上がっていく。
「おっ、ちゃんと入ってんじゃ〜ん。」
と、要は腰に手を回して言ってくる。
そこへ左手で要の腕をひねって軽く交わした。
「神楽冷たい。」
「こんな朝忙しいときに触ってくるからだろ。まだ心が広いほうだろ思うけど。」
朝ご飯に一緒に作ってあった和食をテーブルの上に置く。
普段健康には気をつけるようにしているのだ。
それに神楽も要もパン党ではなくご飯党。
朝はやはり米なのだ。
「ほら、時間がないからさっさと食べる。はい、弁当。」
要に差し出した後、時間に終われるように急いで食べる。
普通だったらまだ余裕があるのかもしれないが、この後洗わなければいけないために急いで食べなければならないのだ。
「頂きます。」
「はいどうぞ。」
黙々と食べ終わった後に神楽は急いで皿洗いをしようとする。
もちろん忙しい朝だから要も道連れだ。俺もそこまで甘くはない。
「急げよ。時間がないんだから。」
「は〜い。」
だからいつも2人は遅刻ギリギリなのだった。



何とかここまで来ました。
第1話異様に長いです。



  1. 2004/12/29(水) 18:05:31|
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第1話‐2

家に着くと、神楽は鍵を指してドアを開けた。
扉を開けると真っ暗な玄関が神楽たちを迎え入れる。
靴を脱ぐ前に玄関の明かりをつけ、靴を脱いでさっさと台所に向かった。
「袋ここに置いとくぞ。」
神楽は台所にスーパーで買った荷物を置き、自分の部屋へ戻ろうと階段を登り始めていた。
「あれ?夕飯は??」
「夕飯はって……今日の当番は要だって言ったろ?」
「マジで手伝ってくんねーの?」
「メニュー決めてやっただけ感謝しろよ。今日はカレーだ。一番楽な料理だぞ。」
本格的に作ろうと思えばすごく凝ったカレーが出来るのだろうが、あいにくそんなカレーを食べたことはなく、一度もつくろうとは思っていない。
なので大体はカレールーとルーの後ろに書いてある作り方で何とかなる。
これなら要にも作れるお手ごろ料理となるのだ。
「あっ米はないから米炊いとけよ。」
最後にそれだけ言い残すと神楽は階段を上りきり、部屋のドアを閉めてしまった。
ドアを閉められてしまうと要もなすすべがなく、大人しく米を炊き、カレーを作り始めた。
料理が苦手な要でも、カレーは何とか1時間以内で出来る。
「……やっと出来たか。」
「いやいや、これでも頑張ったほうだぜ?」
「………そうか。」
確かに今まではもっと時間をかけていた。
カレーぐらいだったらもっと早く出来ていて言いのだが、なにせ作るのは要である。
まともに作れたことに対してほめてやらねば…と思うほどなのだ。
「とりあえず食うか。」
カレーを食卓に運び、テレビをつける。
2人が向き合うように座ると、神楽は一口カレー食べる。
要は味はどうか確かめるために要をずっと見ていた。
「……まぁ、普通。」
普通にレシピ通りに作っているために当たり前なのだが、要はその通りに作れないことが多い。
というか作れたためしがない。
何故なのかはこちらが聞きたいくらいなのだ。
「マジで!?おぉ…よし。俺も食おう。」
「俺は味見係かよ。」
2人は無事にカレーを食べ終わり、皿を洗うために食器を台所へ運ぶ。
今回はカレーだったため、すぐに運び終わって神楽は洗い、要は拭き始めた。
これは双子内では暗黙の了解となっている。
あっという間に2人の一日が過ぎていった。




  1. 2004/12/29(水) 10:02:31|
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第1話 「絆」


大学の第3校舎の図書館にて、机の上には5冊ほど本を無造作に縦積みになっていた。
その本を帷幄 神楽(いあく かぐら)は本を片っ端から読み漁っていた。
「なぁ、神楽。」
「……ん?」
神楽と同じ姿をしているもう一人の人間がつまらなそうに隣にいる。
弟の要だ。神楽たちは双子だった。
要は縦積みにしてある厚い本をぱらぱらと見ているだけでパタンと閉じてしまった。
「こんなもん読んでて楽しい?」
「まぁ…無駄にはならないんじゃないか?」
そうかぁ?こんなもん読んでて何の役に立つんだよという顔をしている。
神楽は黙々と気にせずに読んでいたが、本をパタンと閉じて要に話しかけた。
「お前さぁ……なんていうか普通に他の奴らと一緒にいたほうが楽しいんじゃねぇの?なんでこんなところにいるんだよ。」
「神楽がいなきゃ来ないよ。こんなとこ。」
「じゃあ何しに来てんだよ。」
んー、神楽に会いに?なんて要はほざいているが冗談じゃない。
コイツのせいで2人は付き合ってるんじゃないか?なんて問題にもなってしまっているのだ。
これは人生で最大の汚点である。
「もっと俺以外の誰かと仲良くすれば?」
「そうしたら神楽を守れないじゃんか。」
「守れないってなぁ……俺は男だぞ?いったい何考えてんだよ。」
はぁ…と深く溜息をつき、真面目な顔で訴えるも要には何も通じることはなかったらしい。
要はただにんまりと笑うだけだった。
「神楽のこと。」
こんな風に公共の場で言われてたら皆が問題視するのもしょうがないなと思ってしまう。
神楽はそうは思っていないのだが、要にはもしかしてそっちの気があるのではないかという風に自分でも思ってしまう辺り悲しかったりもする。
どうしてこういう子に育ったのかが一緒に育った俺にも分からない。
「かぐら〜。」
「なんだよ。」
色々考えていると段々不機嫌になってきてちょっときつめの目つきで要を見るが、全然動じない。
それどころか「そんな目で見ないでよ〜。」なんてふざけた声を出している。
「……もうお前帰れ。」
「一緒にかえろ〜よ〜。」
「俺が集中できねーだろうが!!」
つい大声を出していると、周りが冷たい顔をしてこっちを見ている。
図書館の中はもちろんおしゃべり厳禁な場所だ。
しかもこの図書館は大学の中でも大きいところなので通う人がいっぱいいるのだ。
そんなところで真剣に本を読んだり勉強をしたりしているなかで大声を出していたのだから当然のことだ。
「……す………すみません……」
神楽が引きつった顔で誤ると皆また下を向いて本を読み出したりしていた。
引きつった顔ももとに戻り、段々いたたまれなくなったので仕方がなく鞄と借りる本をもって立ち上がった。
「神楽?」
「ほら、一緒に帰るんだろ?」
それを聞いた要は急いで鞄を持って神楽を追いかけていった。
その間に図書館で読みきるはずだった本を借りる手続きをしている。
手続きをしている途中で要が追いつき、一緒に出口の門をくぐっていった。
そのとき、1通のメールが来た。

この世とあの世をつなぐ者
天と地
闇と光
地獄と天国
全てをつなぐ者
全ての世界に邪悪な支配者が現れるとき
『Zero』によって世界は守られよう


「………?なんだこれ。」
要がひょいっと携帯を覗く。
「お前なぁ……勝手に人の携帯みんなよ。これ家族間じゃなきゃ犯罪だぞ。」
「神楽だからいいんだよ。でもこれ意味不明だよな。」
携帯を取り上げて改めてその文を見る。
確かに今までこういうメールが来たことは一度もない。
あったとしても迷惑メールとかだ。
でもそういう意味で送られてきたわけではなさそうだし……。
「う〜ん……」
「ん?何か気になることでもあるのか??」
「いや……別にたいしたことはないんだけどさぁ…。なんていうかファンタジーっぽいなぁって。
だって『邪悪な支配者』とかってもろに小説とかゲームに出てきそうじゃねぇ?」
でも一番気になる単語は『Zero』。
Zeroってことは0ってことで。
つまりは何もないということ。
どうしてそれで世界が守られると言うのか。
「まぁ……でも別に気にしなくてもいいんじゃねぇ?
それよりさっ今日の夕飯なに??」
「今日はお前担当だろ?」
「そうだっけ?まぁいいじゃん。一緒に作ろv」
「vをつけるな気色悪い。」
要たちはとりあえずスーパーに立ち寄らなきゃなと思い、家の方向とは若干違う方向へと進んでいった。
神楽たちに両親はいない。2年前に交通事故で亡くなった。
だから今は2人で一緒の家に住んでいる。
家事もなにもかもを分担して行っていた。
「コレ買おうよ。」
とスーパーで要が取り出したものは林檎。
要は一緒にスーパーに行っても買い物で協力しようとはしない。
ただ自分の買いたいものを買うだけだ。
「駄目。林檎は家にまだあったじゃんか。」
「だってあの林檎あんまし甘くないじゃん。」
俺この品種の林檎好きなんだよ。と神楽に差し出す。
「だからってなぁ……食べ物ぐらい大事にしろよ。」
確かにあまり甘くなかった為、カレーにでも入れとけば良いかなと思っていた。
だから今日のメニューはカレーにしようといっていたのだ。
「いいじゃ〜ん。買おうよ〜。」
「それ以外にも確か隣から貰ったものとかあったろ?それをまず片付けないと。」
要を説得しつつ、常に自分の目線は食べ物。
より良いものをより安く手に入れるために必死なのだ。
「う゛ぅ………。」
「まぁまぁ。明日の弁当にはお前の好きなもの入れといてやるから。」
マジで!?といきなり凄い明るい顔をしてこっちに向けてくる。
こういう風な表情をしている姿はやっぱし可愛い弟なんだなと思う。
なんだかんだいっても弟には基本的に甘いのだ。
「大体そろえたし……帰るか。」
「おう。」
レジに持っていって会計を済ませた後、袋2つ分になったものの重いほうを要が持っていってくれた。
神楽は素直に重いほうを要に渡し、のんびりと家まで歩いていった。




  1. 2004/12/28(火) 21:30:34|
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